作・演出・美術/沢 則行
音楽/ノノヤママナコ
歌/井上あずみ
出演/ゆみだてさとこ・桑原博之(元・俳優館)
制作協力/損保ジャパン人形劇場ひまわりホール
ほとんどの日本人が知っている「竹取物語」。世界最古のSFとも、藤原政権への風刺とも解釈される原作は、かぐや、という一人の女性が成長し、愛を知り、やがて天へと帰っていく別れのラブ・ストーリィでもあります。名古屋を代表するふたりの女性人形劇家によるユニット「ゆめみトランク」が、チェコ・プラハを拠点に活躍する国際人形劇家、沢則行と手を組み、「となりのトトロ」を歌う井上あずみの歌にのせて、こどもたちと、その親の世代に、愛と笑いの新しい「かぐやひめ」をお届けします。
「ゆめみトランク」を2008年に旗揚げし、今までの人形劇にはない新しい何かを模索している中で、人形劇家の沢則行さんに出会い、歌手の井上あずみさんに出会い、すばらしい共演者に出会いました。新しいものを創りたい、見たことのない世界へ行きたい。あまりに小さい存在で、あまりに無謀な私の想いに応え、力を貸してくださったみなさんのおかげで、この「かぐやひめ」という作品が生まれました。
かぐやひめは、突然竹取のおじいさんとおばあさんの前に現れ、やがて月へと帰ってしまうミステリアスな女性です。なぜ月から人間の世界にやってきたのか。月の世界で罪を犯したから、とも言われていますが、何が「罪」で何が「罰」だったのか。この作品を作りながら頭の片隅でいつも考えていました。が、結局よくわかりません・・・。
もしかしたら、かぐやひめが「普通の女の子」だったからなのでしょうか。月の世界でいつも人間を見下し、監視(?)する立場の存在が、あまりに人間的で、反抗期や思春期を持っていたからでしょうか。人間の醜さを知らしめるために人間の世界へ落とされたのに、逆にかぐやひめはおじいさんとおばあさんに愛をもらい、人を愛することを知るようになります。でも、その結末は逆らうことのできない別れです。きっと、月の住人は経験しないことでしょうね。