中に鈴が入っていて、かわいらしい音がします。
「震災後、孫がはじめて笑ってくれた」
女の子のお母さんは、津波で亡くなったそうです。
おばあさんは、涙をこらえながら、笑顔でお話してくださいました。
女の子は、少し恥ずかしそうにおばあさんの後ろに隠れていました。
震災発生からちょうど1年、テレビなどで津波の映像が流れ、公演の数日前に発生した地震で、津波警報のサイレンが1時間以上も鳴り続けたために、子どもたちの心は動揺し、大人たちも不安に駆られている、という状況でした。
子どもたちの中には、開演前、上演中もなかなか落ち着くことができず、みんなが真剣な空気になるほどに、物を投げたり、立ち上がったりする子も。
でも、その小学生くらいの女の子をはじめ、大人のみなさん、おじいさん、おばあさん方は、食い入るように観てくださっていました。
2stめ、鵜住居の第2仮設住宅にある、デイケアセンターでの上演。
そこに通っていらっしゃるお年寄りのみなさん、20名ほどに観ていただきました。
若い役者の熱演を温かい目で見守ってくださるような雰囲気と、ほっこりとした笑い声と、最後に、涙。
スタッフの方も、
「子どもたちの笑顔やお母さん方、お年寄りの涙が強烈に印象に残りました」
と言ってくださいました。
かたづけをしていると、いちばん前の列でみていたおばあさんが、施設の職員の方に付き添われて私のところにやってきて、手作りのレーズンのケーキをくださいました。
職員の方といっしょに、
「これしかあげられるものがないんだけど」
と言って。
今朝、それをいただきました。
甘くて、おいしかったです。
おなかいっぱいになりました。
釜石のみなさんに、たくさんのものをいただいた公演でした。
舞台の持つ力を、改めて感じ、深く心に残る経験でした。
この公演をコーディネートしてくださったスタッフのみなさん、
受け入れてくださった釜石のみなさん、
本当に、ありがとうございました。